石の説明にある「モース硬度7」などの数字は、傷のつきにくさを比べるための尺度です。数字が大きいほど何倍も丈夫になるわけではなく、割れにくさ、熱、光、薬品への強さも示しません。用途に合う石を選ぶには、モース硬度を正しく読む必要があります。

モース硬度は、鉱物同士で傷がつくかを比べた順位

モース硬度は、フリードリヒ・モースが考案した1から10の相対的な尺度です。代表鉱物は、1が滑石、2が石膏、3が方解石、4が蛍石、5がアパタイト、6が長石、7が石英、8がトパーズ、9がコランダム、10がダイヤモンドです。硬い鉱物は、より小さい数字の鉱物に傷を付けられます。

この数字の間隔は均等ではありません。ダイヤモンド10とコランダム9の差は、方解石3と蛍石4の差と同じではありません。モース硬度は測定値の直線的な物差しではなく、傷のつきやすさを並べた順位として使います。

「硬い」と「割れにくい」は別

宝石の耐久性は、主に次の3つを合わせて考えます。

  • 硬度:擦り傷や摩耗への抵抗。モース硬度が示すのはここです。
  • 靭性:衝撃を受けたときの、割れ、欠け、破断への抵抗。
  • 安定性:熱、光、湿度、家庭用薬品などによる変化への抵抗。

ダイヤモンドは最も硬い宝石ですが、特定の方向に割れやすいへき開があり、強い衝撃で欠けることがあります。一方、ジェイダイトやネフライトはモース硬度がダイヤモンドより低くても、組織が緻密で靭性に優れます。数字だけで「丈夫」と判断しないことが大切です。

アクセサリーの用途別に見る

指輪・ブレスレット

机、ドア、金属、ほかの石に当たりやすい用途です。傷への強さに加えて、へき開、内包物、表面に達する亀裂、充填処理、石を保護する留め方を確認します。硬度が低い石や割れやすい石は、毎日使うより、使用場面を選ぶほうが長持ちします。

ペンダント・ピアス

手元より衝撃や摩擦が少ないため、繊細な石を取り入れやすい用途です。ただし、香水、化粧品、ヘアスプレー、汗が触れやすい位置かどうかは確認します。

原石・置き石

身につけなくても、直射日光、急な温度変化、湿気、ほこり、転倒に注意します。水溶性や多孔質の鉱物、粉が落ちる標本は、むやみに水洗いしないでください。

保管では、硬さの違う石を触れさせない

硬い石と柔らかい石を同じ袋に入れると、硬い石が柔らかい石や金属表面を傷つけることがあります。ダイヤモンドはほかの宝石だけでなく、別のダイヤモンドにも傷を付け得ます。個別の袋、柔らかい布、仕切りのあるケースを使い、石同士が動いて触れないようにします。

自分で硬度テストをしない

ナイフ、やすり、ガラス、別の鉱物で表面をこする試験は、宝石や研磨面を傷つけます。また、コーティング、張り合わせ、処理、方向による硬さの違いがあるため、家庭での単純な試験だけで同定はできません。硬度は公開されている鉱物データを参照し、石の種類が不明な場合は専門機関へ相談してください。

数字を手入れに生かす

硬度が高くても超音波洗浄や蒸気洗浄が安全とは限りません。亀裂充填、含浸、コーティング、熱に弱い性質、留め具の緩みなど、別の条件で損傷することがあります。個別ページの「お手入れ方法」「取扱い・安全上の注意」と、天然石のお手入れガイドを確認してください。