12月の誕生石の一つとして知られるタンザナイト。石しるべでは、1960年代に発見された比較的新しいこの宝石が、誕生石表に加わった経緯を紹介します。

発見からわずか数十年で誕生石に

タンザナイトは1967年にタンザニアで発見された、宝石としての歴史がまだ浅い石です。それにもかかわらず、その美しい青紫の色から急速に人気を集め、2002年にはアメリカ宝石業界団体によって12月の誕生石に追加されました。伝統的な12月の誕生石であるターコイズやジルコンと並んで、新しい選択肢として定着しています。

産地が一つしかない希少性

現在もタンザニアのメレラニ鉱山周辺でしか産出が確認されておらず、この希少性も人気を後押ししてきた理由の一つです。

選び方のヒント

多くは加熱処理によって、より澄んだ青紫色に整えられています。硬度がやや低めのため、指輪よりもペンダントやピアスなど、こすれにくいデザインで楽しむのがおすすめです。

角度によって色が変わる石

タンザナイトは、見る角度によって青・紫・赤褐色と異なる表情を見せる「多色性」を持つ宝石です。宝飾用に流通する澄んだ青紫の色合いは、多くの場合、この赤みを目立たなくする加熱処理によって整えられたものです。

「トルコの石」という名の誤解

ターコイズの名は、フランス語で「トルコの石」を意味する言葉に由来しますが、これはトルコで産出したからではなく、中央アジア産のターコイズがトルコ経由の交易路を通ってヨーロッパへ運ばれたことによる呼び名です。

古代エジプトからアメリカ先住民文化まで

ターコイズは、古代エジプトのツタンカーメン王のマスクにも象嵌され、数千年にわたり世界各地で珍重されてきました。北米ではナバホ族やズニ族などの先住民が、銀細工と組み合わせた装身具づくりの伝統を今日まで受け継いでいます。

ジルコンとジルコニアは別物

12月の伝統的な誕生石の一つであるジルコンは、名前が似た人工石「キュービックジルコニア」としばしば混同されますが、ジルコンは天然に産出する鉱物であり、両者は成分も生成過程も全く異なります。

地球最古の鉱物としてのジルコン

オーストラリアで発見された一部のジルコン結晶は、放射年代測定によって約44億年前に形成されたと推定されており、地球上で確認されている中で最も古い鉱物の一つとされています。この性質から、ジルコンは地質学の年代測定にも活用されている、宝石であると同時に科学的にも重要な鉱物です。

肌になじんで色が変わることも

ターコイズは内部に微細な空隙を持つ多孔質の鉱物のため、肌の油分や化粧品、香水などを吸収しやすく、長年身につけるうちにわずかに色合いが変化することがあります。これは天然石ならではの経年変化として愛好家に受け止められています。

かつてダイヤモンドの代用とされた無色のジルコン

無色のジルコンは強い輝きを持つことから、近代的な宝石鑑定が確立する以前は、ダイヤモンドの代用として扱われることがあり「ジャーゴン」という呼び名で流通していた時代もありました。人工石のキュービックジルコニアとは異なる、歴とした天然鉱物です。

アメリカ南西部の名産地

ターコイズはイランなど中東でも古くから採れてきましたが、19世紀以降はアメリカ・ニューメキシコ州やアリゾナ州、ネバダ州などが主要な産地として知られるようになりました。中でも「スリーピングビューティー鉱山」や「キングマン鉱山」の名は、産地ブランドとして流通名に使われることもあります。

一年を締めくくる月の誕生石として

12月は一年の締めくくりの月であり、ターコイズの空の色にも似た青緑、そして新しい仲間タンザナイトの神秘的な青紫は、一年を振り返りながら新しい年を静かに迎える季節にふさわしい落ち着いた色として親しまれてきました。伝統的な石と新しい石が並ぶ12月は、古きを尊びながら新しきを受け入れるという、年の瀬らしい誕生石の月ともいえます。

アステカ・古代エジプトを結ぶ青緑の石

ターコイズは、中央アメリカのアステカ文明でも神聖な石として仮面や装飾品に使われ、古代エジプトでは前述の通りツタンカーメンの副葬品にも用いられました。地球の反対側にある文明同士が、同じ青緑の石を特別な存在として扱っていたことは、この色が人類にとって普遍的に価値ある色とされてきたことを物語っています。

楽しみ方

伝統的なターコイズやジルコンとあわせて、新しい仲間タンザナイトも12月の誕生石として楽しんでみてください。