10月には、色彩豊かなトルマリンと、虹色に輝くオパールという、二つの個性的な誕生石が並びます。石しるべでは、それぞれの魅力と選び方を紹介します。
色数で選ぶならトルマリン
トルマリンは、宝石の中でもっとも色数が豊富といわれる石です。赤のルベライト、二色に色分かれしたウォーターメロン、漆黒のブラックトルマリンなど、自分の好みの色をじっくり選べるのが魅力です。
唯一無二の輝きを求めるならオパール
オパールは、内部の微細な構造が生む虹色のきらめき(遊色効果)を持つ、他に類を見ない宝石です。一つとして同じ輝き方のものはなく、まさに唯一無二の一石に出会える誕生石といえます。
選び方のヒント
トルマリンは色の濃さと透明度、オパールは遊色の強さと模様の均一さが、それぞれの評価のポイントになります。オパールは水分を含む鉱物のため乾燥に弱く、保管環境にも気を配るとよいでしょう。
虹色でない「ファイアオパール」も
メキシコ産の「ファイアオパール」は、遊色効果を持たないことも多い代わりに、透き通るオレンジや赤の色合いそのものが魅力とされる、一般的なオパールのイメージとは異なる個性を持つ品種です。
「混ざった色の石」という名前の由来
トルマリンの名は、スリランカの言葉で「混ざった色の石」を意味する「トゥルマリ」に由来するといわれます。一つの鉱脈から色とりどりの結晶が採れることに由来する呼び名です。
1980年代に発見された奇跡の色「パライバトルマリン」
1980年代、ブラジルのパライバ州で、銅を含むことでネオンのように輝く青緑色のトルマリンが発見されました。「パライバトルマリン」と呼ばれるこの品種は、他のどの宝石にも見られない鮮烈な発色から、発見以降トルマリンの中でも別格の高値で取引される存在になっています。
宝石以外にも使われる黒いトルマリン「ショール」
黒色のトルマリンは「ショール」と呼ばれ、装飾用だけでなく、電気を帯びやすい性質(焦電性・圧電性)から工業用途にも利用されてきました。
「幸運の石」から「不運の石」へ変わった評判
古代ローマの博物学者プリニウスは、オパールを「キューピッドの石」と呼び幸運の象徴として称賛しました。しかし19世紀、作家ウォルター・スコットの小説の中でオパールが不吉な出来事と結びつけて描かれたことをきっかけに、ヨーロッパでは一時的に「不運の石」という評判が広まったと伝えられます。現在ではそうした迷信は薄れ、遊色効果の美しさが素直に評価されています。
灰を引き寄せる石という発見
18世紀、オランダの商人たちは、加熱したトルマリンが灰を引き寄せる性質に気づき、この石を「灰を引くもの」を意味する「アッシェントレッカー」と呼びました。これは後に、熱を加えると電気を帯びる「焦電性」という物理現象として解明されています。
水を含む鉱物としてのオパール
オパールは、他の宝石には見られない特徴として、結晶構造の中に3〜21パーセントほどの水分を含んでいます。この水分が失われると乾燥してひびが入ることがあるため、極端な乾燥や急激な温度変化を避けて保管することが、長く楽しむための鍵になります。
結晶の中に電気の偏りを持つ鉱物
トルマリンは、結晶の両端で電気的な性質が異なる「極性結晶」という珍しい構造を持ちます。この性質が、加熱時や圧力を加えた際に電気を帯びる焦電性・圧電性の正体で、宝石としてだけでなく物理学的にも興味深い鉱物として研究されてきました。
実りの秋に彩りを添える二石
10月は木々が色づき始める秋本番の月にあたり、色とりどりのトルマリンと虹色に輝くオパールは、紅葉や実りの多彩な色彩を映す誕生石として親しまれてきました。一つの色に定まらないという共通点を持つ二石が、変化に富むこの季節の誕生石として選ばれていることは、偶然ではないのかもしれません。
ブラジルが支える世界のトルマリン
トルマリンは世界各地で産出しますが、色数の豊富さで知られる高品質な結晶の多くはブラジルのミナスジェライス州で採れています。同じ結晶の中でも成長の過程で成分が変化し、内側と外側で色が異なる「バイカラートルマリン」が生まれるのも、この産地でよく見られる特徴です。
楽しみ方
二つの誕生石を持つ10月生まれの方は、その日の気分や装いに合わせて、色で選ぶか輝きで選ぶかを決めるのも楽しい選び方です。