6月の誕生石として知られる真珠。石しるべでは、現在流通する真珠の多くを占める養殖真珠と天然真珠の違い、選び方の基本を紹介します。

天然真珠と養殖真珠

天然真珠は、貝の中に偶然入った異物を核として自然にできるもので、非常に稀少です。1893年に日本の御木本幸吉が養殖真珠の生産に成功して以降、人為的に核を挿入して育てる養殖真珠が広く普及し、現在流通する真珠のほとんどを占めています。

品質を見極める基準

真珠の品質は、形の丸さ、表面のキズやしわの少なさ、真珠層の厚みによる光沢(テリ)、色合いのバランスなどで評価されます。真円に近く、表面がなめらかでテリの強いものほど高く評価される傾向があります。

アコヤ・白蝶・黒蝶の違い

真珠は、育てる貝の種類によって色や大きさに個性があります。アコヤ貝から育つ真珠はやや小粒で上品な光沢を持ち、白蝶貝からはより大粒で白〜金色の真珠が、黒蝶貝からはグレーや黒みを帯びた真珠が育ちます。

あこや・白蝶・黒蝶以外の真珠

ピンク色をした「コンクパール」は、真珠層を持たない大西洋の巻貝から生まれる非常に稀少な真珠で、独特の炎のような模様(フレイム)が見られることがあります。真珠にもさまざまな個性があることを知ると、選ぶ楽しみが広がります。

身につける者を制限した古代ローマの法

真珠は稀少で高価だったことから、古代ローマでは身分の高い者以外の着用を制限する奢侈禁止法(贅沢禁止令)の対象になったこともあると伝えられます。ユリウス・カエサルもまた、真珠を熱心に収集した人物として知られています。

王侯を渡り歩いた「ラ・ペレグリーナ」

16世紀にパナマ沖で発見された洋梨形の大粒真珠「ラ・ペレグリーナ」は、スペイン王室からイギリス王室へと渡り、20世紀には俳優エリザベス・テイラーの手に渡ったことでも知られる、数奇な来歴を持つ真珠です。

淡水パールという選択肢

海の貝から育つアコヤ・白蝶・黒蝶真珠に対し、中国の河川や湖で養殖されるイケチョウ貝などから育つ「淡水パール」もあります。一つの貝から複数の真珠を同時に育てられるため、比較的手ごろな価格で楽しめる真珠として広く流通しています。

核を持たない「ケシ真珠」

真珠養殖の過程で、挿入した核とは別に偶然できる、核を持たない小粒の真珠を「ケシ真珠」と呼びます。真珠層だけでできているため独特の輝きを持ち、副産物でありながら愛好家に好まれる存在です。

真珠層は装身具以外にも

真珠を育てる貝殻の内側を覆う真珠層(マザーオブパール)は、真珠そのものだけでなく、ボタンや小物の装飾、螺鈿(らでん)細工の素材としても古くから利用されてきました。

デリケートな硬度ゆえの注意点

真珠のモース硬度は2.5〜4.5程度と、他の宝石に比べて非常に柔らかい部類に入ります。香水や化粧品の成分が表面の光沢を損なうことがあるため、身支度の最後に身につけるのがお手入れの基本とされます。

真珠の光沢が生まれる仕組み

真珠特有の虹色を帯びた光沢(オリエント効果)は、真珠層を構成する薄い炭酸カルシウムの層が幾重にも重なり、そこに入った光が反射・干渉し合うことで生まれます。真珠層が厚いほど、この光沢は深みを増すとされています。

唯一「生き物から生まれる」誕生石

鉱物や岩石を起源とする他の誕生石とは異なり、真珠は貝という生き物の体内で作られる、生物由来の唯一の誕生石です。貝が自らを守るために分泌する物質が幾重にも層を成して真珠になるという成り立ちは、他の誕生石には見られない特別な生成過程であり、この点が古くから真珠を特別な存在にしてきた理由の一つです。

真珠養殖に用いられる貝の種類

真珠養殖には、アコヤ貝・白蝶貝・黒蝶貝のほかにも、淡水産のイケチョウ貝やヒレイケチョウ貝など、世界各地でさまざまな貝が使われています。貝の種類だけでなく、水温や水質、養殖期間の長さによっても真珠の色や大きさ、光沢に違いが生まれ、産地ごとの個性につながっています。

月の満ち欠けと重ねられてきた真珠

丸く白い真珠は、古くから月の満ち欠けと関連づけられて語られることがありました。夜空に浮かぶ月と、水の中で静かに育つ真珠という組み合わせは、洋の東西を問わず詩的なイメージとして親しまれてきた組み合わせです。

楽しみ方

真珠は硬度が低くデリケートな宝石です。使用後はやわらかい布で汗や汚れを拭き取り、他の宝石とは分けて保管すると長持ちします。